こんにちは、雪風です。
関東は梅雨真っ只中ですが、今年の梅雨は晴れたり止んだりな不安定さが目立つ感じですね。
さて、先日私の1290もようやく走行距離が10,000kmを超えましたので、ここで一度「1290 SUPER ADVENTURE S」というバイクに対する感想を書いていきたいと思います。
外観
まずは大事な見た目のお話。
私の1290は在庫車であった事もありますが、2018年式の日本向け車両はそもそもこのカラーリングのみ(本来はオレンジ色もあった模様)でしたので半ば強制的に黒となりました。
やはりKTMと言えばオレンジって感じですが、黒主体の車体にオレンジの差し色(ロゴやエンジンガード)が入っているのもこれはこれで良いかなあと結構気に入っています。
・1290は1190の時から現行型まで基本的なパッケージングは変わっておらず、KTM的にこのデザインラインはほぼ完成形なのかなあと思っています。
・大排気量アドベンチャーという事で大柄な印象がありますが、絞る所は絞って意外にスマートに纏まっていると思います。
・アドベンチャーバイクらしいワイルドなルックスでありながら、スタイリッシュなスポーティさも持ち合わせている絶妙な形だと思います。
・ヘッドライトはLEDでコーナリングライトも兼ね備えています。これが非常に優秀でバンク中に本来は照らせない場所を明るくしてくれるのに感動しました。
・特徴的なデザインのヘッドライトの外側はDRL(デイタイム・ランニング・ライト)になっていて、設定次第では明るい内だけこれを点灯し、暗くなると(トンネル等含む)オートライトとしても運用できます。点灯の反応はかなり良いです(消灯は安全性の為か遅めですが)。
エンジン
KTMのラインナップで最も大きいVツインLC8の排気量は1,290…ではなく1,301cc。
額面上は160馬力という事でちょっと身構えてしまうかもしれませんが、実際のところは「良くも悪くもKTMらしくない」マイルドさが前面に出ていてとても扱い易いモノです(これは過去のKTMのエンジンに比べればという話ではありますが)。
・若干、極低回転域の弱さを感じる時もありますが、これは排気量を考えれば特別問題視するものではありませんし、どの速度域からでも瞬時に立ち上がって引っ張っていってくれるトルクは非常に頼もしい印象です。
・KTMと言えばマグラの油圧クラッチって感じですよね。スリッパークラッチが装備されたバイクを所有するのは初めてですが感触も非常に良く、街乗り程度ならブリッピングはせずにシフトダウンしていけます。
・走行モードは4種類。普段はストリートでのんびり走りつつ、たまにスポーツでフルパワーを味わう程度が良いかもしれません。レインは極度に出力を抑えて雨の中でのスリップを緩和してくれます。オフロードはレインほどではないですが、こちらもダートでの走行を安心して行う事が出来ます。
・トラクションコントロールはON/OFFのみ。ON時の特性は選択している走行モードと様々なセンサーが状況によって複雑な判断をして稼働してくれている…と思います。
・ちなみに、気になる燃費ですが一般道は13〜18Km/L、高速道路は19〜23km/Lといったところで思ったよりは悪くない感じですが、やはりある程度のペースで走っていないと低くなりがちです。
タンク容量は23Lなので、現実的な走行可能距離は350〜400kmとなりますがここは問題無いレベルかなあと思います。
足回り&ブレーキ
「S」は前後共WP製のセミアクティブサスペンション(所謂電子サス)が付いています。
「R」に比べるとストロークが20mm短い前後200mmとなりますが、よほどのオフロード走行でなければ気にする差では無いでしょうし、何よりも電子サスの恩恵があまりにも大きく、これだけで私はSを選んで良かったなと確信しています。
・フロントフォークの上端は通常、サスセッティング用のダイヤルが付いていたりしますが、電子サスではコネクターが付いていてそこにケーブルが挿さっています。
・フロントブレーキはブレンボの対向4ポッドがラジアルマウントされています。制動力やタッチなど全く不安はありません。
・手元のボタンでプリロードや減衰力を簡単に変更出来るのが非常に便利です。
・特にバイクの特性上、沢山の荷物を載せる事が多いのでそれに合わせて細かいプリロードの設定が行えるのが助かりますね。
・減衰力は4種類から選択出来ます。ストリートはまったりと走るのに向いていますが、細かい切り返しやコーナーでペース上がった場合に膨らみ易い気がするので、ワインディングを走る時などはスポーツに入れると良いかもしれません。オフロードはその名の通りですが、コンフォートは柔らかいなあと思うだけで個人的にちょっと使い所が分からないです。
・リアサスペンションもダイヤル等は無く全て電子制御されています。状況によっていちいち手動で調整しなくて良いってのはホント便利です。
・リアブレーキもブレンボです。
・ABSのモードは3種類。ロードは前後とも作動しますが、オフロードではフロントのみ作動。オフでは前後共ABSがカットされます。
足つき
アドベンチャーバイクでは特に気にされる事が多い足つきについてですが、「一般的な感覚」ではあまり良くは無いと思われます。
「S」は標準シート高860mmと875mmの選択式ですが、車体の重心が高めなので意外とフラつき易いかと思われます。
・私はここに更にエルゴシートを入れて890mmまでシート高を上げてしまっている訳ですが、クッション性とシートヒーターが便利なんですよねえw
私は身長169cmで体重59kgほどですが、上記のエルゴシートを装着した状態だと両足はほぼ着かず、片足が精々と言った感じになってしまっています。
ただし、この手のバイクの足つきは「慣れ」によるところが大きいので、正直なところ私自身は特に足つきを問題とはしていません。
それよりも、高いシートによって視線が高くなり、膝の曲がりが少なくなって足も楽になるという所の恩恵の方が重要に感じています。
快適装備
KTMのバイクといえば質実剛健な(?w)無骨な印象を受けた時期もありましたが、今は良くも悪くも今風のバイクメーカーという感じになり、立派な快適装備がいくつも装備されています。
・グリップヒーターは標準装備。グリップも細身で感触も良く、ヒーターも3段階で調整出来て良く効きます。
・メーター下には電源ソケットが付いています。蓋付きなのは良いのですが、位置的にハンドルをフルロックすると差し込んでいるチャージャーとケーブルが干渉するのが玉に瑕。
・メーターの右側にはスマホケースが付いています。
・蓋を開けるとスマホを入れておくスペースとUSBポートがあるんですが、iPhone12ProMaxの様な大きいサイズのスマホはほぼ入りませんし、USBケーブルを挿してしまうと尚の事難しくなるでしょう。私は仕方ないので蓋の内側にあるメッシュポケットに前述した電源ソケット用のチャージャーとUSBケーブルを収納しています。
・スクリーン脇のつまみを回すとスクリーンの高さを変える事が出来ます。
・最低位置。スクリーンが結構大きいですが思ったより視界の邪魔にはなりません。
・最高位置。ここまで上げると視線とスクリーンの上端が被ってしまいますが、高速道路を走行する時などは抜群の防風性を確保出来ます。
・フットペグも標準で装備されています。画像では外してしまっていますが、ブーツの底の保護と防振用に嵌め込み式のゴムが付いています。
・これは快適装備というか微妙に便利なワンプッシュで回るセルスイッチ。
・私にとっては待望のクルーズコントロールも装備。左の親指一本で操作が完結するのが良いですね。BMWもそうですがアクセルグリップを逆に捻るとクルコンの解除が出来ます。
・これも非常に便利なスマートキー。ポケットに入れていてもエンジンをかけられますがちょっと反応が悪く、体を車体にかなり寄せないとダメな場合が多々有ります。
・万一、スマートキーが使えなくなった場合(キーのバッテリー切れや無反応時)BMWの様に鍵で始動させるという事は出来ないので、ハンドルの左側にある画像の位置にキーを接近させると強制認識させる事が出来ます。
・キーの物理鍵部分はシートを取り外す為に使用します。
・シート下収納はキャニスターとETCにより埋まってしまい車載工具すら入りません。ここら辺はちょっと残念。
・これも別の意味で快適なTFTメーター。
・表示方法は正直なところ、あまり凝った感じがしない無骨なデザインですが必要な情報は全て表示さてれており視認性も悪く無いです(左側の細かいデータ表示はカスタム可能)。
・グリップヒーターやシートヒーターも予めシステムに組み込まれているので、作動状況が一眼で分かるのも良いところです。
純正部品
これは車体とは直接関係有りませんが、納車時点で付けてて良かった純正部品(パワーパーツ)を紹介したいと思います。
・ラジエーターコアガード、スキッドプレート、クラッシュガードは最初から付けておきました。とりあえず付けておけば安心って感じの装備たちですね。
・こちらは純正アルミパニア用のパニアフレームです。純正品がツラーテックのOEM製の為、タイガーで使っていたパニアがそのまま流用出来たのは非常に助かりました。
・純正トップケース用ステーですが、こちらも狙ったかの様にタイガーで使っていたそれと互換性があったのでトップケースも流用出来ました。
オフロード走行
10,000km以上走って意図せずダートを走ったのが2回、意図して走ったのが1回ほどなのであまり多くを語れませんが、ここはやはり天下のKTMと言うべきか良く出来てるなあと思います。
「意図せず〜」の2回目はそこそこの勾配と悪い路面状況、おまけにタイヤは純正のスコーピオントレイル2で私自身はリハビリ中という悪条件下でもコケずに完走出来ましたから結構頑張ってくれます。
「意図して〜」の時点ではAX41を履かせたスポークホイールに換装して走行した訳ですが、電子サスは良く動くし、オフロードモードの制御も良いせいかタイヤが全然滑らず「外装の慣らし」(転けるの意)を意識する事は全然ありませんでした。
・いくらハイペースでは無いと言え、こんな大きいバイクをダートで楽々走らせらるというのはやはり魅力的ですよねえ。
ズバリここが良い!
これに関してはやはり「扱い易い」という点に終始すると思います。
排気量と車格の割には軽量で、走り出すと思った以上に軽々と振り回せるのはなかなかに驚きですし、また気に入っている所でもあります。
何度も書いていますが、「良くも悪くもKTMらしくない」という表現が個人的にマッチしていまして、昔の様な尖った特性を前面に押し出すだけではなく、なるべくマイルドに扱い易くしつつも、いざって時は簡単に飛び出していけるというノリが今風で紳士的かなあと思います。
ズバリここが悪い!
これは私の所有する個体は特になんですが、兎に角「トラブル」が多かったところです。
ブログで何度も書きましたが、納車前のオイル漏れから始まり、その後も何度となくオイル漏れで入院する事がありましたし、仕様っぽいブレーキランプ点灯しっ放し問題や、ガソリン残量の不具合(これはいつの間にか直った)、そして未だに解決していない冷間時の始動困難など上げていくと枚挙に遑がありません。
逆に早い段階(保証期間内)でトラブルが粗方出尽くしたとポジティブに捉える事も出来なくはないですが、やはり国産に比べるとちょっと不具合が多い印象があります。
まとめ
長々と書いてきましたが、今の段階での評価は「100点中90点」と言った感じで買って良かったなあと思っています。
2021年でモデルチェンジして新たにレーダーが搭載されたり、フレームやタンク周りのデザインが変更となりましたが、やはり根本的な車体構成は変わる事なく使われ続けています。
この調子なら新型車に大して見劣りする事もなく、まだまだ乗り続けていけるのではないかなと考えております。