「KTMパワーパーツ ワンピースエルゴシート」インプレ

こんにちは、雪風です。

午前or午後だけお天気みたいな日が続くのでどうにもお出かけし辛い日々です。

 

さて、今回はKTMのパワーパーツで販売されている「ワンピースエルゴシート」を1290に取り付けたお話です。

  

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エルゴシートとは?

 

「エルゴノミックシート」の略だとは思いますが、要するに快適なシートくらいの認識で良いと思います。

座布団やマットレスでも使われている様な高反発素材を利用したシートですね(パワーパーツのそれに何という素材が使われているかは分かりませんが…)。

 

エルゴシートを選んだ理由

 

元々、1290のノーマルシートは硬めで個人的にあまり感触が良くない印象だったのでいずれ変えようとは思っていたのですが、昨年末の事故による負傷を踏まえてお尻(正確には仙骨)を少しでも労りたいという思いで今回購入した次第です。

 

また、今回はワンピースの物を購入しましたが、これは単純に格好が良いのとツーピース(ノーマル形状)に比べてシートの隙間から水やホコリが侵入し辛そうだと思ったからです。

 

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 ・こちらが購入したエルゴシートになります。ワンピースですがライダーとパッセンジャーの座面は段付きで別れている感じです。

 

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・表皮はライダー側がザラザラの滑り止めでパッセンジャー側がスエードみたいな素材です。手で押した感じは意外と硬いですが実際に座るとどうなるのか…?

 

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・パワーパーツのロゴがカッコイイですね。

 

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・シート裏側はこんな感じでシートヒーター用の配線2本が見えます。後述しますがシート高の調整機構は無くなってしまいます。

 

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なお、1290用のエルゴシートはワンピースはヒーター付きのみ。ツーピースはライダー側はヒーター付きのみ。ピリオン側のみヒーターの有無が選択出来ます

 

取り付け作業

 

では、1290への取り付けを始めます。

購入するまでは「ノーマルシート外して、コネクター繋いで、新しいシート付けて終わり!」くらいな作業量を想定していたのですが、実際は少々違いました。

 

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・エルゴシートの同梱物一覧。シート意外に取り換える部分がある様です。何故か取説が入っていなかったので、シートを引き取る際にお店でツーピースの用のそれを印刷して頂きました(基本は一緒です)。

 

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・まずはノーマルシートを取り外し、タンク後部のカバーを取り外します。

 

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・カバーを取り外すとライダー側シートヒーターのコネクターが出てきました。

 

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・次にキャリアを外していきますが、私はトップケース用のブラケットを付けているのでまずはこれを外します。

 

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・トップケースブラケットを外すとキャリアのボルトにアクセス出来ます。このボルトはグラブバーとも共締めになっているので、取り外す際にグラブバーが脱落しない様に注意しましょう。

 

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・キャリアと下のカバーは共締めなので後は取り外すだけなのですが、よく見るとサイドカバーの裏側にも固定してあるボルトがあるので左右忘れずに外します。

 

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・カバーがスポッと外れるかと思いきや、この部分が何処かに引っかかっていてうまく外れませんでした。隙間に手を突っ込んでガチャガチャ動かしていたら外れましたw

 

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・やっとこ外れました(ここが一番面倒でした…)。この謎の出っ張りは再利用するのでボルト4本を外します。

 

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・カバーの下からパッセンジャー用ヒートシーターのコネクター(赤丸)と後述のコントローラー用コネクター(青丸)が出てきました。これはしっかりと見える位置に引っ張っておきましょう。

 

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・カバー比較。どう見ても同じパーツに見えますが…。

 

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・後述の配線を逃す為の切り欠きがエルゴシート付属のカバーには確保してあります。てか、ノーマルのカバーの差異部分が「削って下さい」と言わんばかりに色が違いますね。ノーマル削った方が早かった疑惑がありますが後の祭りなので素直に交換しますw

 

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・付属のカバーに先ほど外した出っ張りパーツを移植します。ちなみに、この出っ張りはこれでカバーを支えている訳ではなく、シート下を通っている配線が暴れない様に押さえ付ける為のパーツっぽいです(多分)。

 

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・エルゴシートに付属していたパッセンジャー用シートヒーターのコントローラーを組みます。シートヒーターの操作をパッセンジャーの手元で個別に行える物です。まあ、私は後ろに人を乗せる予定は無いので全く無用なパーツですが…。

 

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・コントローラーを右側のグラブバーに取り付けます。裏側にねじ穴が切ってあるので付属のボルトで付けるだけなんですが、グラブバーは樹脂製なのでボルトが斜めに入らない様に注意しましょう。

 

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・コントローラーの配線はカバーの切り欠きを通過します。ちょっと隙間が大きい様な…。

 

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・準備が整ったので逆の順番で外したパーツを組み付けて行きます。

 

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・タンク後部のカバーを取り付ける前にライダー用シートヒーターのコネクターが隠れない様に引っ張り出しておきます。

 

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・エルゴシートのシートヒーターのコネクターに車体側のコネクターを繋いでいきます。青丸の溝にパッセンジャー側の配線を挟むと噛み込み防止に良いかもしれません。

 

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・エルゴシートにも書類を挟むバンドが付いているのですが、ここに配線を挟むのも良いかもしれません。シート下の配線がゴチャ付く(主にでかいキャニスターが原因ですが)のがちょっと難ですねえ。

 

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・配線を繋げたら後はシートを嵌めるだけです。まずはフロントの突起にシートの窪みを合わせます。ノーマルシートとは違い窪みは一つだけなのでここはすんなり入ります。

 

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・最後にシート後部の突起を車体側のシートロックホルダーに差し込みます。配線を挟み込まない様に注意しましょう。突起がすんなり入らない場合は配線を挟んでいる可能性が有るので確認してみましょう。

 

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・作業完了です。やっぱりワンピースはカッコイイですね。

 

シートヒーターについて

 

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・シートヒーターの動作テストも行っておきます。「SET」→「PREFERENCES」でヒートシーターの項目が出てきます。ライダーとパッセンジャーが別れています。

 

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・「PREFERENCES」で「ON」を選んでおけば、後は「SET」→「MOTORCYCLE」でON/OFFと温度調整が行える様になります(グリップヒーターと同じです)。

 

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・温度設定は「弱・中・強」の三段階です。ここで注意したいのがライダー側とパッセンジャー側の温度調整はメーターでは個別に行えません。「PREFERENCES」でパッセンジャー側がONになっている場合、ON/OFFと温度調整は先ほど取り付けたコントローラーで行います。

 

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・メーター上にシートヒーターの状態が表示されます。これはライダー側が「ON」で温度が「強」って事ですね。パッセンジャー側は「PREFERENCES」で「OFF」になってるので何も表示されていません。

 

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パッセンジャー側はコントローラーのダイヤルを捻って操作します。見辛いですが現在の位置(「O」)がOFF。1が弱で2が強相当だと思われます。

 

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・シチュエーション的にあるかどうか微妙ですが、ライダーはOFFでパッセンジャーだけONにするなんて操作も可能です。

 

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・タンデムの予定は無いのでパッセンジャー側は大元をOFFにしておきました(何かの切っ掛けで電源が入っているのに気付かないと無駄に電力食ってしまいますからね)。

ちなみに、シートヒーターの性能は作業日の気温が高かったのもあって判定出来ませんでした(エンジンの排熱が大き過ぎて何が熱持ってるのか分かりませんでしたw)。

 

これはまた後ほど寒い時期になってから検証してみたいと思います。

 

エルゴシートの実力

 

最後に一番大切なエルゴシートの性能についてです。

 

取り付けた翌日に100Km程度走ってみましたが、乗り出してすぐに「あ、これは良いな」と思いました。

ノーマルシートは跨ると最初に沈んですぐに硬い部分が現れる様な感じなのですが、エルゴシートは表層がノーマルより若干柔らかく、沈み切った所で何かにぶつからず先がある様な感覚です。

抽象的な表現で分かり辛くて申し訳ないですが、これが所謂「コシがある」って事なんでしょうか?

距離がちょっと短いのでまだ断定は出来ませんが、このノリならもっと距離が伸びてもノーマルより快適に走れると考えて良いと思います

 

(追記)

後日、エルゴシートを装着して1日で800km走ってみました。距離が距離ですのでお尻は少し痛くなったりもしましたが、その都度少しスタンディングでお尻を休めてから座り直すと痛みも和らぎ、それ以上痛くならなくなるという状態でした。

走行中も走行後も「買って良かった〜」って感じで気分も楽になりました。

 

yukikaze1984.hatenablog.com

 

エルゴシートの弱点

 

さて、一見上位互換の様なエルゴシートですが、これにもちょっとした弱点は有ります。

 

まず第一に「シート高」が上がってしまいます。

1290スーパーアドベンチャーのシート高は以下の通りになります。

  • スーパーアドベンチャーS 860〜875mm(サストラベル200mm)
  • スーパーアドベンチャーR 890mm(サストラベル220mm)

で、エルゴシートを取り付けるとシート高が強制的に+15mm(カタログ値)上がりますから、単純計算でエルゴシートを装着したSのシート高は890mmとなりRと同一のシート高になってしまいます。

おまけにサストラベルはRに比べて20mm短い訳ですから、単純に足つきが悪くなっただけって考え方も出来てしまいます(私は完全に両足着かなくなってしまいました)。

副次的な効果として、シート高が上がった事で目線が上がり見渡しが良くなったとか、シートの厚みそのものが増えた事でスタンディング事に脚で車体を挟みやすくなったというのも有りますが、この手のバイクに慣れてない方は注意した方が良い所ではあります。

 

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・ノーマルに比べるとフラットに近い感じになり、見ただけでシート高が上がっているのが分かりますね。

 

もう一つはシートの取り外しが若干やり辛くなってしまう点です。

こちらはシート高ほどの問題ではありませんが、ETC本体をシート下に入れている場合等アクセスするのにその都度シートを丸ごと外す必要があります(引っ張り出せない事も無いですが却って遅くなると思います)。

シートを完全に取り外す際はシートヒーターの配線の取り外し忘れによる断線にも注意したいところです。

 

まとめ

 

ダラダラと書いていたら随分と長くなってしまいましたが総評です。

先に書いた様に足つきの悪化等のデメリットは有るものの、それを補って余り有る快適性(シートヒーターも寒い時期は活躍するでしょう)が有ると思います。

 

乗り出し時から装着してても良いと思うパーツですし、SのハイシートやRの足つきが問題無い方は納車時のオプションに選んでも良いかもしれませんね。

 

(追記)気温一桁の中で数時間、ヒーターを付けて運転してみました。結果としてはとても暖かく(場合によっては暑くなって出力落としたりもしましたが)活躍してくれました。寒い時期にお尻の下に強力な熱源が有るととても安心できます。